@book{oai:kanagawa-u.repo.nii.ac.jp:00009646, author = {大西, 秀之 and Onishi, Hideyuki}, month = {Mar}, note = {本稿では、函館市北方民族資料館に展示されている中部千島シムシル島収集のカヤック型皮船「バイダルカ(Baidarka)」を対象として、同資料が製作・使用された歴史的背景を検討する。とくに、そこでは、造船技術や操船技術などといった技術的実践を復元するなかから、同資料の製作や使用に影響を及ぼした帝政ロシア期の露米商会(Russian-American Company)を中心とする植民地支配のあり方を追究する。 同資料の形態と構造を検討した結果、その製作や操船にかかわる技術選択や技術的実践のあり方の一端を窺い知ることができた。そして、そうした技術選択は、露米商会に代表されるロシアの植民地支配によって、アリュートが毛皮交易品生産を目的とした特定の小型海獣の狩猟に従事させられるとともに、アリュート社会において長距離移動の必要性が低下した結果である、という想定が導かれた。このような結果から、同資料の船体の形態や構造は、単に環境適応や文化伝統などによるもののみならず、露米商会などに代表されるロシア帝国主義による植民地経営の影響を受け選択されたものである、という可能性を窺い知ることができた。 くわえて、本稿では、造船や操船にかかわる技術的実践を徹底的に人間の身体活動として読み解くことによって、従来、巨視的に語られがちであった植民地経営や帝国主義などの影響を、それを製作・使用した人びとが置かれていた社会状況や生活形態を反映する個人の実践として捉えることができた。このため、ここで明らかにした結果は、民具という非言語資料を対象として、単なるモノとしての資料の特徴でも、それを生み出した抽象的な制度でもなく、当該社会の人びとが植民地支配に強いられた社会的実践の一端を読み解いたものと認識することができる。そういった意味で、本稿の成果は、人類学が切り開くことができる新たな歴史研究のフロンティアとともに、長らく人類学が等閑視してきた民具研究に秘められた可能性を提示したといえる。, Article}, publisher = {神奈川大学 国際常民文化研究機構}, title = {05 植民地支配が迫った技術選択 -バイダルカに刻まれた露米商会の経営-}, volume = {5}, year = {2014} }