@book{oai:kanagawa-u.repo.nii.ac.jp:00009616, author = {芹澤, 知広 and Serizawa, Satohiro}, month = {Mar}, note = {東アジアの民俗比較において取り上げられることの少なかったベトナムの事例を取り上げて、物質文化の比較研究を試みる。今日のベトナムの首都ハノイは、1010 年から、中部のフエに王宮が置かれた1802 年まで、ベトナムの王都であった。中国との国境にも近く、中国文化の影響を今もなお色濃く残している。本稿で扱う紙銭(金銭を模倣した紙製祭祀用品)も、中国の影響を受けてベトナムで木版印刷が行われるようになった12 世紀にまでさかのぼる歴史をもつ。しかしながら、今日のハノイでは、台湾や香港の漢族の紙銭とは異なる紙銭が存在し、その使用方法も異なる。それでは、これらの紙銭は、1954年の南北分離や1986 年の経済開放(ドイモイ政策)など、20 世紀後半のベトナムの歴史的な過程のなかで、どのように生まれてきたのであろうか。この問題を紙銭生産に特化した村落、A 村(仮称)に焦点をあてて考察する。 今日のハノイでは、A 村で生産されている4 種類の紙銭、すなわち、銭型の紙銭、「500,000」を額面とした紙銭、米ドル札を模した紙銭、「ヴァン・ラー」という金紙の紙銭が、セットとして使用されている。このセットは、捧げる対象が神仏であっても祖先であっても等しく用いられる。これらの紙銭には、その出現を促した条件をそれぞれに考えることができる。銭型を並べた紙銭は、質の悪いリサイクル紙に印刷するのにふさわしい。「500,000」の額面の紙銭は、A 村で1970 年代に始まったデザインを基にしており、現実の紙幣をモデルとしていないためベトナム政府からも認められている。米ドル札を模した紙銭は、現実の紙幣にいくら似せたとしてもベトナム政府からの干渉を受けない。そして「ヴァン・ラー」は、ベトナム北部、とくに沿岸部の漁民に人気があり、A 村がその生産に長けていたため、祖先祭祀にも用いられるようになったと考えられる。, Article}, publisher = {神奈川大学 国際常民文化研究機構}, title = {11 ベトナム・ハノイの紙銭―比較研究の試み―}, year = {2013} }