@book{oai:kanagawa-u.repo.nii.ac.jp:00009585, author = {安室, 知 and Yasumuro, Satoru}, month = {Mar}, note = {“自然”を生業に利用しようとするとき、丸ごとの“自然”はとても人の手には負える ものではない。“自然”の一部を切り取ってきたり、また自然の力をそいだりしながら、 人が扱える状態にまで“自然”を馴化させる必要がある。海や山でのくらしには、自然を 分節化し利用するための民俗技術が発達している。本論では、自然を分節化し利用するた めのもっとも基本的な技術として命名行為に注目する。とくに海付きの村に暮らす人びと が海という自然空間をどのように漁場として利用するかを海底微地形の認識と命名の中に みてゆく。  その結果、命名にみる漁場認識のあり方は、水深と陸からの距離によって、以下のよう に3 つのパターンに分類することができることがわかった。( 1 )民俗空間のキワのうち 陸からもっとも近いところ(キワ・キワ)、水深20 m 未満の浅いところにあるイソネ。 ( 2 )キワのうちオキ側のところ(キワ・オキ)、水深20 m あたりのネ。( 3 )民俗空間で いうオキからダイナンのかけて、水深20 m 超で200 m くらいまでの突出して浅くなっ ているところにできるネ。  漁場となるネの名称について、上記3 パターンを対照すると以下のようになる。  a. コーネ(小根)と一括されるネである。コーネはさらに細かく分けられているが、そ の一つ一つに固有名を持つ。「○○マエ」や「○○シリ」のように、隣接する陸地やそこ にある対象物との相対的位置関係から命名されることが多い。さらに、ムラ人に共通する ネの名前とともに、ジブンヤマと称する個人的なネも多く存在する。  b. オーネ(大根)と一括されるネである。「○○ネ」の名称が主。また、内部を細分化 するときには「○○モタレ」のようにヤマアテに用いるオオヤマの名称がそうした部分名 称に用いられることがある。  c. 「○○ダシ」の名称が付けられたものが多い。それは基本的にヤマアテの名称と一致する。  以上のような分類と認識の体系をもって、百姓漁師は眼前の海域を漁場として利用して きたといえる。, Article}, publisher = {神奈川大学 国際常民文化研究機構}, title = {百姓漁師の漁場認識 -ネ(根)の命名をめぐって-}, year = {2013} }