@article{oai:kanagawa-u.repo.nii.ac.jp:00009538, author = {赤羽, 正春 and Akabane, Masaharu}, journal = {神奈川大学 国際常民文化研究機構 年報}, month = {Sep}, note = {北方船の系譜を、北欧で発達を遂げたバイキング船の技術とシベリア内陸で発達してきたシベリア型と、二つに分類してきた。前者は船底材にキールと呼ばれる一木の材が据えられ、ここからリブ材を建ち上げて船側板を張る骨組みとする構造をとる。後者は一木の丸木舟を中心に、船側は船底からClinker-build(鎧張り)で建ち上げて外形を構成する。  この二つの技術的系譜の違いは、船底材の据え方にある。平底から側板を建ち上げる技術は、シベリア型北方船に顕著な特色があり、環太平洋の北方船につながるものとして指摘できる。一方、バイキング型北方船も、骨組みを優先する形になる以前には、平底の船から出発したのではないかとする考え方があり、船底をキールに任せる構造になる以前には、船底材優先の技術が幅を利かせていたものと考えられる。  これら二つの技術的系譜の基層には、より単純であるが、技術的には未分化の船があったと考えられる。つまり、平底船底材、鎧張り、両頭式、シングル・ダブルブレードパドル対応の船である。 シベリアに特徴的な、一人乗り、全長5m、両頭式、シングル・ダブルブレードパドル対応の小舟がこのような北方船の基層を形作ったのではないかとする仮説を提示し、事例を提供することで証明する。 シベリア内陸で使用され続けてきた一人乗りの小舟(オモロチカ、オブラスなど)が、バイキング型北方船やシベリア型北方船の元になる技術を内包し、ここから伝播した技術が、朝鮮半島の韓船やジャンクなどの中国船、そして北海道の胴海船へと伝わってきたことを主張する。 この中には、バイキング型北方船とは別の骨組みを採用した、カルマーと呼ばれる船も含ま れる。平底にリブ材、鎧張りで船を構成するバルト海に特徴的な船の技術は極東や日本海にも及んでいる。シベリアからバルト海へ伝播した技術は、東進してアジアにも至る。そして、南方船との交錯によって、各地域により優れた技術の船をもたらした。 北方船の技術は南方船との交わりによって、軽量化、小型化を遂げていく。技術の多様性の交わりが、船の技術的発展を導いた。, Article, 論文}, pages = {55--66}, title = {大陸で育まれた北方船技術の伝播 -技術的系譜論-}, volume = {4}, year = {2013} }