@article{oai:kanagawa-u.repo.nii.ac.jp:00009470, author = {佐々木, 長生 and Sasaki, Takeo}, journal = {神奈川大学 国際常民文化研究機構 年報}, month = {Aug}, note = {福島県のほぼ中央部に位置する猪苗代湖周辺には、ナンバと呼ばれる横長型の代踏み用田下駄が昭和30年代初めまで使用されてきた。横長型の田下駄は、登呂など弥生時代の遺跡からも出土している。代踏み用の横長型の田下駄の民俗事例としては、静岡県沼津市浮島ヶ原周辺の三尺ナンバと猪苗代湖周辺のみである。猪苗代湖周辺のナンバは、長さが約1m、幅約30cmほどの杉や朴の木で作られている。使用方法は、相撲取りが四股を踏むように、片足を大きく横に振り上げ、田面の土塊を強く踏み砕きながら均す。身体の バランスを取るため、杖をついて身体を支える。 ナンバという呼称は、湿田の稲刈りや耕作に使用する田下駄にも見られる。茨城県筑波山麓をはじめ静岡県などにも、稲刈り用の田下駄をナンバとかナバと呼んでいる。大蔵永常の『広益国産考』など農書類にも、ナンバの呼称と形態や使用風景を描いた絵も見られる。主に近畿地方に存在するとある。 会津地方におけるナンバの文献上の初見は、貞享元年(1684)の『会津農書』である。翌年の『猪苗代川東組萬風俗改帳』には、「なんば」という呼称と簡単な絵もあり、現存するナンバと同形のものである。猪苗代地方では、「ナンバ洗い」といって田植え終了後に早苗に御神酒を浸し、ナンバを洗う仕草を行い田の神を祭る儀礼が、ナンバを使用した当時まで行われてきた。他地方の「馬鍬洗い」に相当するものである。 ナンバの呼称について猪苗代湖周辺では、現在不明である。日本舞踊などで片方の手足同時に出して歩いたりするのを「ナンバすり」とか、陸上競技で同様の形で走行するのを「ナンバ走法」などと呼んでいる。各地でのナンバという呼称の存在は、ナンバという動作から派生した名称でないかという仮説を提起したい。 本稿では、『会津農書』等の農書の記録(文字資料)と、民具と伝承(非文字資料)から ナンバを一例に動作からみる民具名称のなりたちについて考えてみたい。, Article, 論文}, pages = {149--160}, title = {田下駄の名称をめぐって -猪苗代湖周辺のナンバを中心に-}, volume = {2}, year = {2011} }