@book{oai:kanagawa-u.repo.nii.ac.jp:00008016, author = {安室, 知 and Yasumuro, Satoru}, month = {Nov}, note = {日本人にとって風は単なる自然現象の一つではない。本論では、とくに風名に注目することで、風に対する多様な認識のありかたを導きだす。その上で、風の民俗分類を手掛かりに自然観の地域性について検討する。この時とくに周囲を海に囲まれる島(周防大島)に注目することで、地域的偏差はより明確になる。 島の中において風に対する認識のあり方を比較すると、さまざまな面で北岸と南岸とが対照的であることがわかる。北岸では北方向の風についてより細かく認識しているのに対して、南岸では南方向の風についての意識がひときわ高い。それは、北岸の場合、北方向の風は海から吹き付ける風となり漁撈活動に多大な影響をもたらすのに対して、南方向の風は陸地から海に吹き出す風となり漁にはさほど影響がないためである。南岸の場合はその逆ということになる。こうした風をめぐる北岸と南岸との対比的性格は、周防大島を越え、日本列島全体にも敷衍できることだといえよう。 その一方で、周防大島は瀬戸内海の中では北に偏って位置しており、必然的に広く海が開けているのは南側だけである。そのため、周防大島全体としては、北方向の風よりも、南方向の風の方に敏感にならざるをえない。とくにマジに対する認識は強い。ひと言でいえば、周防大島では、南風は人の制御を受け付けない存在であるのに対して、北風は時に人の利用を許容する風となる。この点は、島の立地がもたらす、周防大島に固有なことであるといってよい。 また、西風と東風については、周防大島の一般的傾向として、人は東風よりも西風の方により敏感であるといえる。さらに、西風と東風の違いとして挙げられるのは、季節風や台風といった大スケール(地球規模)の風との係わりについてである。西風は冬の季節風と、また東風は夏の台風とそれぞれ強く関連づけてとらえられている。, Book}, publisher = {神奈川大学日本常民文化研究所}, title = {島に吹く風 -周防大島の民俗自然誌-}, year = {2016} }