@book{oai:kanagawa-u.repo.nii.ac.jp:00007984, author = {中野, 泰 and Nakano, Yasushi}, month = {Feb}, note = {本研究は、明治期の水産官僚である河原田盛美が進めた水産改良について、水産巡回教師を中心に、その実態を明らかにし、それがいかなる知識に基づき、いかなる方法で進められたのかについて明らかにするものである。 ここでは、河原田が水産巡回を行った府県で出版された水産講話筆記を中心としつつ、府県資料、及び、河原田家所蔵文書や国文学資料館に所蔵されている「祭魚洞文庫旧蔵水産史料」等の資料を活用し、特に鳥取県への2回に亘る巡回(1888年、1889年)に焦点を当てつつ、その前後の巡回(1887年~1892年)にも目を配った。この研究では、まず、①水産巡回教師の実態と特徴を明らかにし、②その際に依拠した水産改良観を、彼の主著である『水産小学』と水産講話筆記から検討し、③水産改良で用いられた方法を明らかにすることで、④河原田の水産改良の営為の特徴を抽出しようとするものである。 その結果は以下の通りである。①河原田による2回の巡回によって、私立因伯水産共進会が開催され、水産伝習生の派遣と伝習所の設営によって、鳥取県で水産改良を進める基盤ができたという効果があったことを明らかにした。②河原田の水産改良は、学問とともに経験的知識を重視することで水産改良を進めようと構想されており、その折衷主義的な歴史観、学術・実業観は、河原田と交流のあった織田完之の農政復古の思想と良く似た内容を持っていることが分かった。③河原田は、理路整然と講話を行うというよりは、当業者達の経験に基づく知識を対話風に語りかけたり、自らが実演して見せたりし、交感を深めることで、当業者の立場に沿って水産改良を進めようと試みていたことを明らかにした。④このように河原田の水産改良の知識と方法は、西洋の学術を排斥するものではなかった。それは、「尚古派農(政)学」のイメージに収まるものではなく、水産業の現場に密着した経験的な知識と方法に依拠したものなのであった。, Book}, publisher = {神奈川大学日本常民文化研究所, 神奈川大学国際常民文化研究機構}, title = {河原田盛美による水産改良 -水産巡回教師としての知識と方法を中心に-}, volume = {25}, year = {2017} }