@techreport{oai:kanagawa-u.repo.nii.ac.jp:00002685, author = {トルストグーゾフ, アレキサンダー and Толстогузов, Александр and Tolstoguzov, A.}, month = {Dec}, note = {ロシア連邦教育科学省認定「外国語としてのロシア語検定試験(Тестирование порусскому языку как иностранному : ТРКИ)」は, 既に15年間実施されている. 通常,テストというものはある理念(策定の動機)に基づいて,ある目的のために,さらに具体的な状況に見合った形で作成される.したがって,テストの利点と欠点,有効性は,テストの目的がどの程度達成されたかで判断する必要がある. 6レベルからなるТРКИの初級レベルの根拠として主張されるのは,外国語としてのロシア語教育スタンダードである.スタンダードを教育実施の中核に取り込むのは,評価・テステイングの活性化を推進するために重要である.「スタンダード」の能力評価基準によって作成されたТРКИは,ある種のスタンダードとしての機能を果たして,標準テストとなっている. 言語教育における「スタンダード」とは何かについてまだ共通理解があるわけではない.平高史也の定義を借りると「当該言語の教育や普及に関する一定の目的や理念とともに,その言語の教育の環境をデザインするのに必要なある種の枠組みないしは目安を提供するものである」. ТРКИの初級レベルのテストは,実際にテストの作成者が公表したものより高度で,より難しいものであるという疑問がある.初級レベルのテストの99年版と比べて04年版における語彙レベルは高くなっており, 語彙量かなり増え, 難易度が上がっている. このような事情の原因は『スタンダード』の定義にあると思う.本論文のはじめに触れたように,『スタンダード』の定義は「当該言語の教育や普及に関する一定の目的や理念」を含む.しかし,引用したТРКИの策定の動機や目的の中に教育改善の記述があるが,ロシア語の普及に関する記述がない.このような理論的な立場は重大な結果をもたらす.すなわち,ロシアの教育科学省はТРКИの中に高いレベルに注意を集中している.日本だけではなく, ロシア国外全般的にロシア語教育で学習者の圧倒的な数を出す一般学校と大学での非専攻課程で適用の一番高い可能性を持つТРКИ初級レベルの立場は法律的に確立されていない. 全体として見ると,ТРКИの初級レベルのテストは完全にコミュニカティブテストではないが,コミュニケーション言語運用能力と言語構造能力の内容を十分に測定している.テストは,授業活動で学習するすべての技能を測定するのでかなり高い妥当性を持っていると言える. テスト作成者は,言語の基礎である文法と語彙内容をチェックするためにコミュニカティブではない,伝統的な多肢選択肢の文法・語彙力の下位テストを導入しているが,04年版では「文法・語彙力」テストも,よりコミュニカティブな課題となるような工夫がなされている. 「読解力」テストの04年版は,まだ完全にコミュニカティブテストにはなっていないが,よりオーセンティシティーが高いテストとなった. 「聴解力」テストの04年版の内容は明らかにコミュニカティブ・テスティングの目的により良くマッチしている. 「作文力」テストの04年版は,読解力の能力が関係しなくなったのでテストの妥当性が上がった. 「口頭発表力」テストは面談形式の会話の形で実施され,高い妥当性を持つと言える.採点は,「分析的採点」の方式で行われるので信頼性が高い.テストの管理者は,採点者に対する試験官間の信頼性を保つために,大きな注意を払っている.99年版テストにおける,妥当性の観点からみた難点は04年版では改善されている.採点において,評価対象能力以外のものが測定されるといった点はなくなり,テスト時間も短縮され,より簡便になった. 全体的には,04年版はコミュニカティブ・テスティングにより相応しいテストであると結論することができるであろう., Article, 平成23~26(2011~2014)年度科学研究費補助金採択課題研究成果報告論集 基盤研究(C)23520714 ロシア語教育の新展開}, title = {06 外国語としてのロシア語検定試験(初級レベル)の概要と問題点}, year = {2014} }