@book{oai:kanagawa-u.repo.nii.ac.jp:00014138, author = {佐藤, 智敬}, month = {Feb}, note = {その知名度から日本を代表する民俗学者のひとりに数えられる宮本常一は、昭和10年代、30代前半でアチック・ミューゼアムに入所し、渋沢敬三の調査協力をするとともに、日本各地の民俗調査に歩いている。 本稿では、アチック入所前の宮本の略歴を確認の後、アチック入所後の調査活動について整理した。その内容は多岐にわたっており、水産史研究という枠でくくることは困難なものも多い。昭和20年の空襲ですべてが焼失したとされる当時の調査資料についても、宮本常一資料を収蔵する周防大島文化交流センター(宮本常一記念館 山口県周防大島町)にて調査したところ、いくつか失われずに保存されていることが確認された。残された資料のいくつかは、渋沢に協力した魚名調査、漁業史調査に影響を受け作成されたものであった。 さらに資料の細目を確認すると、宮本の調査活動の多くには、聞き取り以外に古文書の筆写が伴っている。戦後昭和20年代、日本常民文化研究所(アチック・ミューゼアムから改称)が主導した全国各地の漁業制度資料を採集、借用、筆写する事業に宮本もかかわっており、これらの作業を実施している。集積された資料のなかには、宮本が昭和10年代に自身のフィールドノートに筆写した古文書や、借用をせずに調査地で筆写したものが含まれている。そしてそれは、その後の著作で引用される確固たる資料となっているものさえある。 昭和10年代の宮本常一による民俗調査は、聞き書きの達人という一般的な宮本評価とは少々異なっている。古文書を解読、資料化し、聞き書きとともに活用していくという、宮本流の調査手法を確立していく途上にあるといえるだろう。, Book, 第Ⅲ章 水産史研究室同人の「問題意識の多様性」}, publisher = {神奈川大学 国際常民文化研究機構, International Center for Folk Culture Studies}, title = {宮本常一による昭和10年代民俗調査の足跡}, volume = {13}, year = {2019} }