@article{oai:kanagawa-u.repo.nii.ac.jp:00012847, author = {栗田, 梨津子}, issue = {198}, journal = {人文研究, Studies in humanities}, month = {Sep}, note = {本稿では、オーストラリアにおける「黒人性」がマイノリティ集団の国家への帰属意識や集団間関係に与える影響について考察する。オーストラリアにおいて長年、「黒人」とは先住民を指し、白人性との対比において「未開」、「野蛮」、「怠惰」、「暴力的」等の否定的な意味づけがなされてきた。しかしながら、同国が2000年頃からスーダン難民をはじめとするアフリカ人難民を受け入れるようになると、先住民に加え、彼らもこのカテゴリーに加えられるようになった。そして主流社会のメディアを中心に、白人の社会規範から逸脱した存在として両集団を包括する「黒人性」が構築されるようになったのである。 先住民とアフリカ人難民は、これまで貧困や差別による社会的排除に晒されてきたが、日常実践における白人との相互作用の中で、主流社会で形成された「黒人性」を経験していた。とりわけ、両集団の中には警察からの不当な扱いが「膚の色の黒さ」に起因するものと認識する人々がいたことから、白人性からの逸脱として構築された「黒人性」が、メディア表象だけでなく、一部の当事者の間でも内面化されていることが明らかになった。このような「黒人性」の経験は、両集団のオーストラリア国民としての帰属意識を一層希薄化させるものであったといえる。 一方で、両集団は、「黒人性」の経験を共有しているにもかかわらず、互いの集団に関する知識の欠如により、相互に否定的なイメージを抱いていた。しかしながら、同じ生活空間を共有する中で形成される交友関係や、行政主催の異文化理解プログラムの下での交流は、今後両者の改善をもたらす契機となり得る。多文化社会における集団間の相互理解を重視するインターカルチュラリズム(間文化主義)の重要性が唱えられる昨今、社会的排除の経験を基にマイノリティ集団間で生まれつつある連帯が、多文化国家における新たな帰属意識をつくり出す可能性について今後も注目していく必要がある。}, pages = {1--23}, title = {Study on ‘Blackness’ in Australia : From an Inter-Minority Perspective}, year = {2019}, yomi = {クリタ, リツコ} }